その子達の会話。
「ねぇ、キャプテン、憧れるね」。
「サーブの男らしさが素敵ね」。
と、部活の話をしている様子。
女の子、「長い髪が素敵なコーチだよねアハハハハ」。
と、笑っていた。
静菜は放心状態。
そして歌い出す。
静菜...。
訳が解らない..。
女の子、「あのコーチのコロンが完熟な所が素敵」。
「そうそう、男の匂いよね」。
そんな会話で二駅超してからその二人の女の子は、
下車して行ったので有った。
理解不能な静菜。
その時車窓は夕日を照らしていた。
ふと静菜は思いに更ける。
先程駅停車前に見た、現代ではあり得ないシチュエーションの、
女子の運動着と夕日が重なり、インスピレーションが湧いたその瞬間、
夢から覚めた。
すると先程と同じ車内。
彼女は長い夢を見ていた様だった。
目の前にいた男性の姿も無く、相変わらず疎らな乗客であった。
すると横の席に置いて有ったリュックからスケッチブックを取り出し、
必死に何かを描く姿の静菜。
それは夕方のグラウンドを走る古風な姿の女子生徒であった。
そして場内アナウンスが流れる。
「次は中判田」。
その時、思いに更ける静菜であった。
西大分駅に到着すると静菜は下車した。
もう辺りは暗く11月の後半は日が沈むのが早く、
西大分は中規模の都会なので、
ネットカフェが複数存在していた。
従い資金不足な静菜は、
躊躇なく今日の宿はネットカフェを選んだ。
部屋でコンビニで買って来た弁当を食べながら、
先程の夢を思い出す。
夢にしてはリアルで現実味を帯びていたからだ。
弁当を食べながら、
目の前のパソコンで中判田駅の歴史を調べた。
だがあまり資料が無く、
静菜は妄想と夢が重なった物だと思った。
そして思いに更ける。
ペットボトルのお茶を飲みながら、
またあんな夢をみてみたいと思っていた。
そして次の日、早速早朝から駅のホームに立つ静菜。
また一車両の黄色い電車が来るのを待っていた。
辺りを見回すと、現代の様相の制服を来た女子生徒が、
ホームに複数立っていた。
遠くの高校らしき建物のグラウンドを見ると、
朝練で走る姿の男女の生徒が見受けられた。
男子も女子もハーフパンツ姿。
やはり昨日の電車の中の夢は、
妄想と夢が重なった物だと確信を得たのである。
豊肥本線は大分駅から日豊本線に乗り換え、
北九州小倉に向かうルート。
彼女は一路本州に向かうつもりだ。
(3)